年齢 | 勤務期間 | 給料(月平均) | 担当した工程 |
---|---|---|---|
35歳 | 2年11ヶ月 | 27~30万円 | 塗装ライン |
トヨタ自動車で期間工として勤務をしていた東京都のHさん(35歳)に体験談を聞きました。働いていた工場や期間と時期、期間工になった理由や仕事内容。それに給料など、これから期間工を目指そうとしている人にとって気になる話をしてもらいました。
働いていた工場名を教えて下さい
田原工場です。トヨタの高級車シリーズやランクルなんかを作っていました。それと田原ではエンジンの生産もやっていました。
食事の時なんかに上司がいっていましたが、なんでも従業員は8,000人ぐらいいるっていっていました。どのぐらいの広さがあるか分かりませんが、敷地も相当大きかったので、かなり規模の大きな工場だなって感じました。
働いていた時期と期間は?
つい最近まで働いていました。働いていた期間は、2014年の10月から2017年の8月までです。全部で2年11ヶ月でした。いわゆる期間工の連続勤務期間フル満了まで、めいっぱい働きました。
勤務していた時期は32歳から34歳にかけてです。
期間工になった理由を教えてください
私の場合、ちょっと複雑な事情があってどうしてもまとまったお金が必要だったので期間工になりました。
ネットの書き込みを見ると仕事がきついということをいっている人が大勢いますが、私は中学から大学卒業までの10年間ずっとバスケをやっていて、体力には自信があったのでも特にキツイとは思いませんでした。
それと車が好きだということも、期間工を選んだ大きな理由です。間近で車を作る工程が見れて楽しかったです。
面接ではどんなことを聞かれましたか?
面接は新宿区役所に近いところにあるビルで行いました。服装は自由だということでしたが、採用してもらえないと困るので、私はスーツを着ていきました。
面接で聞かれたことは、志望動機、体力的な自信はあるのか、交替勤務で夜勤があるけれど大丈夫か、などという感じでした。
志望動機のところで「ある事情があってお金が必要だから」と正直に答えてしまったら、「借金ですか?」と聞かれたので、「もしかしたら期間工になる人の中に借金をしている人がいて、取り立てに現地まで来たりするとやばいからかな?」と感じたので、正直に私の事情を話したら大丈夫でした。
体力的な問題についても「前職が営業職みたいだけど、体力的には大丈夫か」と聞かれたので、「中学から大学までバスケをやっていたから大丈夫です」と答えたら、これも普通にクリアーできました。
やっていた作業・仕事内容は?
私は塗装のラインにいました。基本的な部分は機械ですが、機械ではできない細かい部分を塗っていく仕事です。
スプレーガンという塗料が入ったツールを使って、機械が塗れないような細かい部分に塗料を吹き付けて塗っていく仕事です。
始めは要領をうまくつかめなかったので、塗料が垂れてきたりラインのスピードについていけなかったりしたのであせりましたが、慣れてくると上手く吹き付けることができるようになります。もちろん正社員の方たちが教えてくれるので、すぐに上手くできるようになります。
後から聞いた話だと期間工の仕事は専門的な技術はいらないが、塗装ラインの仕事だけは少し専門的な要素が入るということでしたね。でも、だんだん上手く塗れるようになっていくのがはっきりわかるので、結構楽しかったですよ。
肉体的にはそれほどきついことはなかったのですが、溶剤の臭いに慣れるまではちょっときつかったかな……。まあ、防毒マスクみたいなのを装着するから、それほどきつい臭いじゃないし、体に対する影響も心配するようなこともなかったです。
給料や手当はどれくらいでしたか?
トヨタの期間工の場合、賃金は日給制でした。私は未経験者だったので、日額9,800円スタートでした。月の勤務日数はだいたい21日ぐらいで、残業は20時間ぐらい。これに深夜手当や時間帯手当、その他の手当がついて総支給額がだいたい27万円から30万円ぐらいでした。
ここから健康保険、厚生年金保険、雇用保険、所得税なんかが約4万円から5万円ぐらい引かれます。だから手取りはだいたい23万円から25万円という感じですね。悪くない賃金だと思います。
あと、満了慰労金と満了報奨金が、半年ごとに支給されます。私は無遅刻、無欠勤だったので、累計で300万円を突破しています。これだけでも、かなり大きな金額になっています。嬉しかったですね。
寮や社宅生活はどうでしたか?
寮は完全に個室です。私の場合は和室で、テレビ・冷蔵庫・エアコン・寝具がついていましたから、入寮した日から問題なく生活ができました。あ、もちろんタオルや歯ブラシなんかは事前に用意しておく必要はありますよ。
それと各階にトイレ、洗面所、洗濯機、乾燥機があります。ロビーにはポット、電子レンジが設置されていました。あと、珍しいのでしょうが血圧測定器があったのは笑えましたね。
寮は自炊禁止なので食堂がついています。でも、1食500円以上はかかってしまいますから、安くはないですね。まあ、味はそれなりに良いので、文句は言えないですけれど。とはいっても食費補助が毎月支給されるので、実際の出費は少ないです。貯金しやすいですよ。
あと敷地内にコンビニがあるのと、2kmぐらい離れたところにもコンビニがありました。他に徒歩圏内にスーパーがあるので、食堂の食事に飽きたらコンビニ弁当やスーパーの総菜と白ご飯、または弁当という選択肢もあります。
ただし最寄り駅の三河田原駅まで5Kmぐらいあるので、ちょっと不便です。でも「ぐるりんバス」という、料金100円で好きなところで降りられる便利なバスがあるし、寮で自転車を借りることもできますから、何とかなりますね。よく同僚と、チャリを借りて駅の近くの居酒屋に行ったりしました。
それほどきれいな寮ではないけれど、必要な設備は整っているので、割り切ってしまえば何の問題もないと思います。
社内や寮での人間関係はどうでしたか?
よくブログなんかで正社員の人たちと我々期間工の間に、なにかギスギスした空気があるということを書いている人がいますが、それはなかったですね。むしろお互いに仕事を通じて、上手くコミュニケーションをとっていたように思えます。
まあ、配属部署によっても違いはあるのでしょうが、私のいた塗装ではギスギスしたような雰囲気はなかったです。食事の時間や休憩時間でも、仕事のことを質問すれば嫌がらないで親切に教えてくれました。
また期間工同士でも気の合う人たちとは、結構楽しくやっていました。夜勤明けに誰かの部屋で寝酒のビールを飲んだり、趣味の話をしたりと、楽しかったですよ。その中の2人は同じ東京の人なので、今でもたまに会ったりしています。
休日はどのようにすごしていましたか?
初めのころは気の合った人もまだいなかったし、体がまだ仕事に慣れていなかったので、部屋の中で1日ゴロゴロしていることがほとんどでした。
でも次第に気の合った人ができると、何人かまとまって繁華街に出て夕方から居酒屋にいったりしました。他の人たちと繁華街でばったり会ったりすると、合流して飲みに行くこともありましたね。そこでまた友達の輪が広がって行くのが、案外楽しかったです。
それ以外の時は部屋で一人酒をしながら音楽を聴いたり(DVDプレイヤーを寮で貸し出してくれます)、本を読んだりしていました。
期間工になって良かったと思うことは?
期間工になって一番良かったことっていうと、なんといっても目標の金額を貯金できたことです。そのおかげで私の持っていた事情は解決できたので、ほんと、良かったですよ。
他にも、新しい人間関係を作れたことは、すごくよかったって思っています。前にもいったように、今でも2人の人と交流があって、現在の職場(工務店の営業です)もその中の1人の関係で入社できたので、感謝しています。
期間工になって一番きついと感じたことは?
期間工になって一番きついなって感じたことは、仕事中に会話がないことです。もちろん年中ベラベラとしゃべっていたいわけではないけれど、ほぼ無言で淡々と仕事をこなしていくと、なんだか自分がラインの中の機械の一部になったような気がしました。
塗装だったので体はさほどきつくなかったので、よけいに仕事中に会話がないということが引っかかりました。そのせいなのか気が付くと、「よし、これでOK。じゃあ、次いくか」なんて独り言をいっていることがありました。
これ、他の人に聞かれたら恥ずかしいですよね。
これから期間工になる人にひとこと
期間工の仕事は、ひたすら淡々と仕事をこなすことが基本です。この単調さに耐えられないで辞めていく人って、結構大勢いました。
だから、ただ単に「給料がいいから」という理由だけで期間工になっても、長続きしない人が出てきます。それを克服するためには、なにか目標を立てて、それを達成するためにいまこの仕事をやるんだという気持ちを持つことが必要だと思います。
あと、私は塗装だったのでそれほど体はきつくなかったですが、組み立てのラインにいる人達は、体がきついことが多いようなので、しっかり体のケアをすることが必要だといっていました。体が仕事に慣れてくるとケアをサボることがあるので、翌日余計辛いことがあるようです。
あとは交替勤務が基本ですから、昼夜逆転の日々が続いた後、再び正常な時間帯で仕事をすることになるので、体調管理をしっかりやることですね。