自分は体も丈夫で体力もあるし、結構コツコツやるタイプだから、期間工を目指すつもりだ。しかし、期間工の仕事内容がいまひとつ分からない。いくら、技術も資格もいらないからといって、果たして自分にもできるのだろうか?
こんな心配をしている人は、結構多いと思います。でも、企業がこれだけ頻繁に期間工を募集しているという事実があります。つまり、特別な技術はいらないから、従業員である期間工の入れ替えがあっても問題になるようなことはない、ということを示しています。
では、具体的に期間工の仕事とは、どんなことをするのでしょうか。ここが分かれば、自分にもできるのかどうかの判断がしやすいですね。
そこで、期間工の仕事内容についての情報を、ここでは伝えていきます。
例えば自動車生産工場の仕事内容を考えてみる
代表的な期間工を採用している企業には、ほとんどの自動車メーカーがあります。この、自動車工場での仕事内容を考えると、期間工の仕事内容が浮かんできます。
ほぼ、すべての自動車メーカーは、完成を車製造をする工場と、エンジンやトランスミッションなどのパワートレインを生産する工場を持っています。それぞれの工場では、当然ですが仕事の内容が違います。
完成車を製造する工場では、大きく分けて5つのラインに別れます。プレス、溶接、塗装、組み立て、検査がその工程になります。
エンジンの製造工程は、エンジンブロックの鋳造、機械加工、熱処理、エンジン組み立てという工程に別れます。さらに、検査室ではミクロン単位での精密検査をして、安全性の確保をします。
この他にも、コンロッドやクランクシャフト、それにカムシャフトやピストンなどのパーツを製造するラインもあります。
トランスミッションも同じような工程になります。ミッションケースを鋳造で作り、機械加工をして、熱処理、組み立てがあります。他にも、ギアやシャフトなどのパーツを制作する工程があります。もちろん、完成品の検査もあります。
完成車を作る工程も、エンジンやトランスミッションを作る工程も、全てがラインといわれている流れ作業になっています。期間工は、各ラインのどこかに配属されて、仕事をすることになります。これが、期間工の仕事になります。
結構難しそうだけれど大丈夫かな?
そうですね、確かにすべてを人の手でやろうとしたら、かなり難しい仕事になります。ミクロン単位の工作精度を要求される工程が、かなりあります。ボディーのドア1枚を取ってみても、工作精度があまいと上手く組み立てが出来なくなりますから。
しかし、現代は精密な工作機械が、ほとんどのことをやってくれます。そのため、期間工に職人技を求めることはありません。機械の働きを補助するような仕事、または機械自体を動かすような仕事がほとんどになります。
そのため、不慣れな期間工でも、マニュアルに沿って仕事が出来ます。マニュアル自体もそれほど複雑ではありません。集合研修で説明を受けたあと、実際の現場で社員の人がマンツーマンで教えてくれます。そのため、しっかり覚えることが出来ますから心配はいらないですね。
具体的に各工程はどんな感じ?
では、各工程ではどのような事がおこなわれているのか、検証してみます。
プレス工程
ロール状になっている原材料の鉄板を、各パーツの大きさに裁断することから始まります。裁断された鉄板を、型に合わせてプレス機で一気に各パーツの形にしていきます。ルーフ・ボンネット・トランク・ドア・リアハッチなどの形に作り上げる工程です。
ほとんどの工程を、機械がやってくれます。期間工のやる仕事は、機械が入らない細かい部分に対するフォロー的なことが多くなります。
溶接工程
プレス工程で出来上がったパーツを、正確につなぎ合わせて車体の形にしていくのが、溶接工程です。
ここでも最新の溶接ロボットが、ほとんどのことをやってくれます。期間工がやるのは、ロボットのアームが入らない、ボディー内側を補強するような細かい部分です。こういう手順を経て、きちんとした車体になります。
出来上がった車体に色を塗る塗装工程
プレス工程、溶接工程を経て出来上がった車体に、色を塗って完成したボディーにする工程です。
溶接工程を終えた車体は、自動的に洗浄をされます。その後、防錆塗料が入ったプールに浸けられて、電着塗装をされます。その後下塗り・中塗り・上塗り・トップコートという工程を経て、完成した美しいボディーになります。
工程のほとんどは塗装ロボットとコンピューターが通信をしあって、自動的に作業が進んでいきます。このため、ほとんど人がかかわる仕事は、機械の監視になります。
期間工がかかわる部分は、防錆電着塗装が終わった後、ボディーパネルの隙間を樹脂製のシーリング材で埋める仕事が多くなります。ロボットアームが入らない、細かい部分を担当します。それと、ボディーの内側のように、やはりロボットアームが入らない部分の塗装も担当します。
完成車を作る組み立てラインの工程
美しく塗装をされた完成ボディーに、車として機能するために必要な機能パーツを組み込んでいきます。
エンジン・トランスミッション・サスペンションやブレーキ・タイヤなどのパーツ。ガラスやダッシュボード、シートなどの内装品。バンパーなどを組み付けて完成車にします。
この工程は、期間工が手作業をする部分が多くなります。といっても、ボディー自体は作業しやすい高さまで釣り上げられます。その釣り上げたボディーに、エンジンなどの重量物は台車に乗せて適切な位置に押し上げられますから、重労働ではありません。
気を付けなくてはいけないのは、塗装が終わっていますから作業中に傷を付けないことです。
品質を保つための製品検査工程
車として機能するために、パーツを組み込まれた完成車が、メーカーが決めている基準をクリアーしているかどうかを、きちんと検査する工程です。
検査項目は数百に及びますが、どれひとつとして見逃せません。テスターを使ったり、目視点検をしたりします。この工程のほとんどを、期間工を含めた人がやります。
塗膜の中にゴミが入っていないか、ホイールアライメントはきちんと出ているのか、各メーターはしっかり機能しているのか、水漏れはないのかなど、確認する項目のすべてに人がかかわります。
まとめ
1台の車を作るということは、考えただけでも大変です。しかし、すべての工程のほとんどが機械化されていますから、慣れてしまえば仕事はできます。
期間工の仕事は、こんな感じですね。