昨日、食事休憩のときに、同期の奴がいっていたことがあって、ちょっと気になっています。それは、最近期間工の集まりが悪いから、市場の需要に生産台数が追い付かなくなりそうだ、ということです。
そういえば、最近新人さんの配属数が少ないかなと、感じてはいました。でも、それはうちの班だけで、他の班には配属されているだろうと思っていたんですが、実は違ったわけですね。
まあ、その分残業が増えればいっぱい稼げますから、良いのかも知れませんが、身体はキツクなります。
自分にとっては、稼ぎと身体の消耗のバランスは、いまが一番いいと思っていますから、「できればあまりキツクなって欲しくはない」、ということが正直な気持ちです。
しかし、それ以上に減産現象が起こす、拙い事があります。自分たちのような期間工には、直接的な影響がすぐに表れることはないのでしょうけれど、日本全体のことを考えると、あんまりいいことではないようですね。
それは、自動車産業は日本経済の基幹産業になっているからです。今日は、車の生産が遅れると日本がピンチになるっていう、ちょっと難しい話をします。
期間工の集まりが悪いとなぜ日本が困るのか?
これは、もしそうだとしたら困った問題ですね。第一、なんで期間工の集まりが悪いと、日本経済に影響があるのか、っていう問題です。
でも、確かに市場の状況に悪い変化が出ていないにもかかわらず、生産台数が減ってしまうと、その分お金の流れが減ってしまいます。
例えば、2015年のトヨタの乗用車の生産台数ですが、ネットで調べたら約283万台あったようです。それにしても、すげ~数ですね。
これが、例えばですけれど、10%減ってしまったら、その分市場に流れるお金の量が減ってしまいます。まあ、自分はトヨタの平均単価って知りませんけれど、28.3万台分のお金の流れが減るっていうことには違いないですね。
これは、トヨタ一社の問題ではないでしょうね。ニッサンやホンダ、マツダにスズキ、それにスバルやダイハツだって、条件は同じでしょう。
売れ残って在庫になるより、少しぐらい足りない方が良いんじゃないの、っていうのは拙いんでしょうね、きっとですけれど。
なんだかんだっていって、自動車産業は日本経済の基幹産業ですから、市場と経済に対する責任があるっていいます。
だから、市場の状況が悪くなって減産する以外では、品薄になることはやってはいけないんだって、上長がいっていました。
ん! だから、残業を覚悟しておけっていう意味なのかな? まあ、いいや……。
なぜ自動車産業が日本の基幹産業なのか
このコラムで、こんな偉そうなことをいうとは思っていませんでした。大学受験を2度失敗したやつの言うことじゃないですよね。
まあ、そこは許してもらうとして、基幹産業っていうことを簡単に説明しておきます。
自動車を作るためには、いろいろな産業の力が必要です。要するに、すそ野が広いっていうことですね。
例えば、鉄鋼、金属、軽金属、ガラス、ゴム、石油化学、半導体などの原材料、鋳造技術や鍛造技術の産業、コンピュータなどの電子機器や精密機械工業など、数え上がたらきりがありません。
これらのすべてを結集して、自動車を作っていくわけです。つまり、あらゆる産業の基幹になっている、ということです。
さらに、宣伝広告をやるマスコミや、道路を作る建設会社、外国資本や国内資本にかかわらず燃料を供給している石油会社、自動車保険をあつかっている保険会社などなど、いったいいくつの分野の会社がかかわっているのか、ちょっと見当もつきませんね。
まさに、基幹産業そのものっていうことになります。
車の減産はやっぱり日本のピンチだった
ここまで、偉そうに説明してきましたけれど、やっぱり車の減産って自動車会社1社の問題ではないんですね。
日本のあらゆる産業の粋を集めて作られたものが車ですから、どうやら車の減産はそのまま日本経済に影響するっていう図式になっています。
そう考えると、やっぱり期間工の集まりが悪くて不足すると、タイムラグがあるけれど日本経済そのものに影響するっていうことです。期間工不足は、日本のピンチです。
ちなみに日本のGDPの3.9%もの数値を、トヨタ1社が占めているっていう話もありますから、減産は相当拙いですね。
そのせいなのか、熊本地震があって、トヨタの工場が操業停止になった時ですけれど、一時的に日経平均株価が572円ぐらい、大幅安になったことがありました。
こういうのって、やっぱり相当ヤバイですよね。
期間工が集まらない3つの理由
じゃあ、なんで期間工が集まらなくなったのかなと、自分なりに考えてみました。そうすると、3つの理由が思い当たります。
- 完全個室じゃない寮がある
- 実際に配属されるまでどんな仕事をするのか分からない
- 工場までの通勤が不便
それぞれの内容をみていきます。
完全個室じゃない寮がある
いまだに大きな部屋を、ベニヤで仕切っている寮があるとか、4Dの4部屋を一人ずつが使うとか、トイレや風呂が共同な寮があるなどが原因になっているケースがあります。
自分は小学校から高校までずっと野球をやっていましたから、合宿なんかでこんな経験をしているので、それほど気にはなりません。
しかし、今の若い人って、案外潔癖症の人が多いっていいますから、これが原因かもしれないですね。まあ、自分も十分に若いつもりですけれど。
実際に配属されるまでどんな仕事をするのか分からない
面接のときに「私は、塗装のラインを希望します」などといっても、聞き入れられることは、あまりというのかほとんどありません。
どんな仕事をするのかは、実際に配属されるまで分からないというのが、ほとんどのケースです。これが嫌だっていっている人は、結構います。
工場までの通勤が不便
寮と工場って、意外に離れていることが多くあります。だいたい、バスが出ていますけれど、1時間に何本も出ているわけじゃないです。だから、1本乗り遅れると遅刻だったり、帰りも1時間残業をしたぐらいの時間になることもあります。
それに、勤務シフトによっては、帰りのバスに乗り遅れると寮の食堂が閉まっちゃって、飯を食えないなんていうこともあります。
自分も1度帰りのバスに乗り遅れて、晩飯を食えなかったことがありました。そのときは、さすがに「人権蹂躙だろ~。飯ぐらい食わせろ~」って、叫んじゃいましたね。
まあ、人の考え方はいろいろだっていいますから、いくら収入が良くても、こんな待遇じゃ嫌だっていう考えの人が多くなった、っていうことでしょう。
でも、現役の期間工として一言いわせてもらえるんだったら、「ネットでマイナーイメージをいい過ぎ」です。なんだか、それがすべてみたいないい方が多すぎますよ。ここにあげた要素は、確かにありますけれど、全体のうちの数%程度かなって、自分には感じられます。
3つの会社で期間工やっていますけれど、ベニヤで仕切った部屋にあたったことはありません。それに、4Dの部屋を4人で使うなんて、シェアハウスと同じじゃないですか。
それに、配属の問題はあるかも知れないけれど、どのラインで仕事をしても、腹が立つほどのちがいはないですよ。それに文句をいうって、いってみれば好みの問題みたいなものでしょうね。
まあ、バスの本数だけは何とかしてもらいたいなって、それだけは思っています。なにしろ、飯の問題がありますから。